②「仕事も家庭も、全部中途半端」だった私が、もう一度”自分らしさ”を取り戻すまでの話

「仕事も家庭も、全部中途半端」だった私が、“もう一度自分を取り戻す”までの話

~結婚・出産・迷走の末に見つけた、Webデザインという可能性~

目次

”自分らしさ”を否定する日々。何者でもないまま営業職に転職し、結婚・出産。母になって、焦りと劣等感ばかり募っていた。それでも「このままじゃ終われない」と踏み出した、人生の再スタート

👉前の記事:①ずっと社会不適合だと思っていた私が、“好き”を仕事にするまでの道のり

営業職への転職|“自分らしさ”が欲しかった20代の私

臨床検査技師として働いた病院を辞め、次に選んだのは治験の営業職(SMO)でした。臨床経験を活かしながら、自分の考えや提案を仕事に活かせる――そんな“自分らしさ”のある仕事に魅力を感じたのです。治験とは、新薬の候補物質が人にとって効果的かつ安全かを確認するための臨床試験のこと。私は、製薬会社と治験を行う医療機関・スタッフとをつなぐ仕事に従事していました。

「今度こそ自分らしく、天職にしたい!」そう思いながら、地道な訪問やヒアリングを重ねて信頼関係を築き、難易度の高い治験に対応できるスキームを構築して、大型案件の受注にも成功。営業成績は順調に伸び、やりがいも手応えもありました。

しかし、社内の評価は思うようにいきませんでした。
私の“泥臭い”やり方は、上司の求めるスマートさとはかけ離れていて、意見を伝える姿勢も、「生意気だ」と反感を買うことが増えていきました。頑固で不器用だった私は、うまく立ち回ることができず、少しずつ風当たりが強くなっていきました。

自分らしさ

業務量も増え、限界が近づく中、助けを求めると「成果ごと引き継いで」と言われました。つまり、自分が築いた信頼関係も成果も、他人に譲ることを求められたのです。「私だからお願いしたい」と言ってくださった製薬会社の想いを裏切るようで、その選択はできませんでした。なんとか一人でやり切ろうと頑張ったものの、さらに新規営業も止めるなと指示され、悪循環に。

ついに成果ごと渡す決断をしたものの、その後の評価は下がり、「もっと雑にやって」と言われる始末。丁寧さが非効率だと言われたのです。もちろん、営業の世界では“利益を出す”ことが第一で、それが正解だとも分かっていました。でも、私は「私にしかできないこと」で評価されたい。自分らしさのある仕事がしたかった。

自分のやり方はそんなに間違っているんだろうか。
会社って、目標に向かって協力し合う場所なんじゃないの?

そんな理想を持っていた私は、社内の空気や政治に、心が擦り減っていきました。

結婚・離職・出産|なれない育児、遠ざかる自己実現

迷いと疲れを抱えていた頃、大学時代からのパートナーがプロポーズしてくれました。寿退社するつもりはなかったけれど、今の仕事を続けても、私が目指す理想には近づけない――そう思い、退職を決めました。引き止めてくださる方もいたし、やりがいもあった。でも、自分の目標が定まらないまま、つらい現実から逃げたような感覚もありました。

結婚後、まもなくコロナ禍に突入。思いがけず妊娠が発覚し、母になる準備も心の余裕もないまま出産を迎えることになりました。陣痛から分娩まで約3時間のスピード出産。無事に元気な女の子が生まれたことは、何よりの幸せでした。

それから、専業主婦としての生活が開始。
毎日育児に追われるなか、夫はとても協力的で、娘も愛おしくて。
でも、育児以外の“自分の時間”が全くない日々に、少しずつ自己否定感が募っていきました。

自分らしさ


「社会から取り残されたような感覚」
「何者でもない自分が、母になってしまった」
そんな喪失感が、心の奥にずっと居座っていました。
焦りが募るあまり、娘にきつく当たってしまったことも。

「母親なのに、自分のことばかり考えてる」
「私って、なんてダメな母親なんだろう」――そう思う日々。
そんな時、夫が言ってくれました。

「君が自分らしく輝いてくれていることが、家族にとっての幸せなんだよ。今からでも挑戦してみればいいじゃん」

涙が出そうでした。

このままじゃいけない。
もう一度、自分の人生を取り戻したい。
ようやくそう思えたのです。

「このまま終わりたくない」|Webデザインとの出会い

そんな時に見つけたのが、職業訓練校の存在とWebデザインという世界。ハローワークが提供する職業訓練は、スキルアップや再就職を支援する制度で、受講料も無料、収入のない私でも挑戦できるチャンスでした。「何の実績もない今の自分でも、何かをつくれるかもしれない」その可能性が、希望に思えたのです。

すぐに資料を集めて見学に行き、簡単な面接を経て、夜間6ヶ月コースに合格。とはいえ授業は夕方開始。認可保育園は空きがなく、隣市の認可外保育園に預けることになりました。
夫に毎日お迎えを頼み、家族には多大な負担をかけながらのスタート。だからこそ、「絶対にこの時間を無駄にしない」と決意して通いました。

自分らしさ

授業ではHTML、CSS、JavaScriptなどのプログラミングや、Photoshop・Illustratorなどのデザインソフト、Webマーケティングなどを学習。さらに実習ではチーム制作や撮影・動画編集も経験し、久々の“自分のための学び”が本当に楽しかったです。特に心に残っているのは、多様な年齢・背景を持つ仲間との出会いでした。若くて行動力のある人、人生経験豊富で柔軟な思考を持つ人…。
一緒に学ぶなかで、「自分の選択次第で未来は変えられる」と強く感じたのです。

Webデザインという職業の幅広さと可能性に惹かれ、気づけば「この仕事を極めていきたい」と思うようになっていました。

再スタートへの挑戦|想いが届いた日

訓練校の卒業が近づき、就職活動もスタート。でも30代・未経験・育児中という条件は厳しく、正社員採用は現実的ではありませんでした。パートでの就職を視野に入れた中で出会ったのが、大手飲食チェーンの「画像加工・編集」求人。Webデザイナーの募集ではなかったけれど、「まずは現場で働いてみたい」と思い、思い切って応募しました。
面接では、私の経歴や熱意を汲んでくださり、Webデザイナーとして採用されることに。
思いがけない希望の叶い方に、驚きと感謝でいっぱいでした。

そして――

「まさかここで、自分らしく働くことの楽しさを再発見できるなんて。あの頃の私はまだ知らなかった。」

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この記事を書いた人

4歳の監督にしごかれながら絵本作家を目指して活動中。
“私らしさ”をエネルギーに、日々のひらめきを形にしています。
【経歴】
臨床検査技師、治験営業、職業訓練、UI/UXデザイナー
【趣味】
ヨガ、絵本探し

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